診断について

こんにちは。院長の後藤です。
3月に入り過ごしやすい季節になってきましたね。

今回は私たち獣医師の「診断」について簡単にお話させていただきます。

一般的な名医のイメージとしては
「症状を聞くだけで、一発で病気の診断が下せる」ような獣医師だと思います。
しかし、経験と知識あるほど、そのような一発診断を取ることはありません。
(軽症かつ早期治癒が望める場合は除きます)
重要なことは「病気は当てものではない」ということです。

獣医師が診断を下す時は以下のような手順を取ります。

① 症状から考えられる疾患を頭の中で列挙します。
→この時点で獣医師の頭の中に入っていない病気は
動物たちにとって「この世に存在しない病気」になってしまします。
飼主様の主訴からあらゆる疾患の可能性を考え診察室に入ります。

② それらの疾患を可能性が高い順番に並べます。
→ここでは“稟告”(飼主様から動物たちの異常をお伺いする事)が非常に重要です。
いつも一緒にいてあげる飼主様しか分からない情報を教えていただきます。

③ それらの疾患を調べるために必要な検査を考えます。
→必要な検査の意義と費用を飼主様にお伝えします。
様々な事情で必要な検査が全て行えない場合は、
症状や費用対効果などを考え優先度順に検査を行います。

④ その検査結果から病気の診断を下します。
→ただし、1つの検査あるいは1回の検査では診断がつかない病気もあります。
(実はそういった病気の方が多いです。)

⑤ 検査結果から更に可能性が高い疾患を絞り②~④を繰り返して診断をつけます。

 

以上の様に
症状から類症鑑を行い、1つずつ病気を除外診断していく過程を
全ての症例で行っていきます。
実は治療行為よりも、多くの時間と知識を要します。

僕が考える名医は、

知識を常にアップデートし、
バランス感覚をもって
丁寧に“診断”をし
分かりやすく
過不足なく
飼主様にお伝えし
動物を治療できる

獣医師です。

一人一人、一頭一頭、これらの過程を心がけて丁寧に診察をしていきます。
常に初心を忘れず、精進いたします。