歯周病について

暑い夏は熱中症だけでなく、実は“歯周病”の患者様が増える時期でもあります。暑さや湿気により口腔内の歯周病菌が増えやすくなる事(正しくはもっと様々な要因が重なります…)が原因の一つです。 歯周病は「世界で最も蔓延している病気」としてギネスブックにも掲載されたこともある疾患です。3歳以上の犬ちゃん猫ちゃんでなんと8割が歯周病に罹患していると言われています。ただし歯周病にも重症度はあって、日頃のデンタルケアだけで改善する場合、麻酔下でスケーリングが必要な場合、口腔外科が必要な場合と様々です。

歯周病の対策として最も重要な事は“重症化する前”の予防です。 ポイントは

① 日々のデンタルケア(最も重要!) →どれだけスケーリングによって歯を綺麗にしても歯磨きをしなければほんの1週間で歯周病を引き起こす可能性があります(私たちも1週間歯磨きをしなかったら…と考えると分かりやすいと思います)。人のように毎食後、歯磨き+フロスなどは現実的に難しいので、「100点の歯磨きをたまにする」より、「60~80点の歯磨きを毎日継続する」事が重要です。

② 動物病院でのデンタルケア →ただデンタルケアを行っていてもやはり歯石は着いてしまいます。一度着いてしまった歯石は中々取れません。また歯石の上からブラッシングをしても歯肉だけを傷つけてしまう事も多いです。歯石が気になる方は、ご遠慮なく口腔内のチェックやスケーリングのご相談にいらして下さい。

③ 重症になった場合… →問題は“歯”だけでなくなってしまう事も…歯周病が進行すると、歯を支える顎の骨が溶けてしまったり、歯周病菌の日常的な暴露により、心内膜炎、腎盂腎炎など全身性疾患に罹患するリスクが高くなると報告されています。ここまでの状況であると、麻酔をかけるリスクも高くなり治療に大きな負担がかかる事が多いです(それでも勝手に治るものでは無く多くの場合、リスクをとってでも麻酔下での治療が必要になる事が多いです…)。

歯は万病の元と言われます。ドライフードを食べづらそう、口臭が気になる、口を気にしている等々、気になる症状がある方はご遠慮なくご相談下さいね。 動物さん達もご家族皆様も健康で、美味しいものを食べて暑い夏を乗り切りましょう!