麻酔について

今回は“麻酔”についてお話させていただきます。 麻酔と聞くと殆どの方が手術の際の「全身麻酔」を思い浮かべるかと思います。そしてやはり「怖い」イメージが少なからずありますよね…。ただ人と違い、病院でどうしても動いてしまうあるいは怖がってしまう犬ちゃん猫ちゃんの治療をする獣医療では非常に有用な処置になります。そしてひとえに“麻酔”と言っても様々な麻酔の方法があります。

●局所麻酔

裂傷、皮膚の小さなポリープの切除、パンチ生検(皮膚の一部を取る検査)などで行います。歯医者さんなどでご経験がある方も多いかと思います。局所のみの痛みを取り除く方法で副反応は極めて少ない処置になります(非常に稀ですが、アナフィラキシーショックの報告があります)。

●鎮静

痛みは伴わないけど、時間のかかる検査や治療をするときに鎮静をかけます(少し眠ってもらうイメージです)。特に怖がりの猫ちゃんの精密検査や尿道閉塞の処置などでストレスをかけることなくより確実な検査や治療が可能になります。また覚醒も非常に速い事から怖がりの動物さん達には非常にメリットが大きい処置です。

●全身麻酔

手術や歯石除去の際に必要な処置です。前述のとおりご家族が「怖い」イメージをお持ちである事は重々承知しております。また知識や経験なく安易に麻酔をかける場合、やはり不慮の事故が起こってしまうリスクがある事も間違いありません。 ただし、全身麻酔は将来の病気を防ぐ不妊手術や、内科治療だけでは治らない緊急疾患(腫瘍、腹腔内出血、腸閉塞、子宮蓄膿症、歯周病など様々な疾患)に対しては、欠かせない処置となります。

重要な事は、「正しい知識、経験に基づいて適切に行う」全身麻酔のリスクは極めて低いと言えることです。当院では必ず麻酔前検査の実施を徹底し、一頭一頭、犬種猫種、ご年齢、基礎疾患などに応じて麻酔薬の種類、薬用量を調整し万全の体制で全身麻酔を行います。 外科処置によって完治が目指せる疾患であれば、適切な麻酔処置は犬ちゃん猫ちゃんにとって大きなメリットとなり得ます。当院では無理に麻酔や手術をする事は決してありませんが、麻酔科処置のメリットが大きいと判断し場合は、ご家族にしっかりとお話をした上で実施させていただきます。 勿論、全身麻酔は100%の安全を保障する処置ではない事も間違いのない事実です。麻酔自体が大きなリスクになるような基礎疾患がある犬ちゃん猫ちゃんに対しては出来る限りの内科治療をご提案する事もありますが、高齢だけど歯周病の治療が出来るかな…?若齢時に去勢・避妊をするタイミングを逃してしまい実施するか迷っている等々。お困りごとがございましたらご遠慮なくご相談下さいね。